LIVE Groove Vocal burst


「こんにちは。渋谷凛です。今度、私たちの記念日をお祝いして、LIVEをやることになったんだ。私と夏樹、それから、周子に美穂、美玲がメインメンバーに選ばれて、順調なはず……だったんだけど。導かれて辿りついた、絢爛豪華な舞踏会。だけど私たちは……そこで、なにか変わっていたのかな。一夜の幻想が終わったら、次は出発の朝が来る。私たちが踏み出す一歩──『ガールズ・イン・ザ・フロンティア』。ぜひ、聴いてください。」

──LIVE会場

夏樹
「会場も、身体も、いい具合にあったまってきたじゃねーか。これなら、最高の一曲を披露できそうだ。」

美玲
「すー……はー……。緊張、するけど……楽しみだなッ!!」

夏樹
「ああ! 曲に乗せて、叩きつけてやろうぜ。この先へ進んでいく、アタシたちの決意を!」

──数ヶ月前


「プロデューサー、入るよ。」

美穂
「おはようございますっ!」

周子
「おっはよー。」

美玲
「呼ばれた通り、全員来たぞッ!」

夏樹
「こうやって大勢で呼ばれたってことは……、なにか、でっかい仕事の話かい?」

[うなずく]

──企画の内容を伝えた……

美穂
「わあ……プロダクションのアニバーサリー!」


「内向けにはみんなでパーティーをやって、その後で、外向けには大きなLIVEをやる、と。」

美玲
「それまで、いろんなお仕事で告知と宣伝か! 忙しくなりそうだなッ!」

周子
「やー、豪勢だねー。パーティー用のカッコ、用意しなきゃじゃーん。」

夏樹
「オイオイ、なんていったって、メインはこの、LIVEだろ!」

美穂
「この5人で歌わせてもらえるんですね!」


「やりがいのある仕事、だね。うん、任せてよ。」

美玲
「だなッ!ウチたちで、最高に盛り上がるLIVEにしてやるよ!」

[今回はそれだけじゃない]

美穂
「それだけじゃない? ……って、どういうことですか?」

周子
「なにか別の企画があるの? それとも、他になにかしてほしいことがあるとか?」

[考えてほしい]

美玲
「うぅ……考える……? なにをだ?」

[これまでとこれからを]

夏樹
「これまでと……。」


「これから……。」


美穂
「どういう意味なんでしょうね。プロデューサーさんが言ってた、『これまでとこれから』って……。」

周子
「これまでをきちんと振り返って、この先の目標をきちんと持ちましよう……みたいな、そーいうやつじゃない? アニバーサリーっていうか、節目ってさ、そういうもんでしょ。」

美玲
「あー……。お正月の書初めとか、そういうこと、言われるよな。ウチ、ああいうの真面目に考えるの苦手だ。つまんないし……リンさんは、どう思う?」


「……えっと。それより先に。私も『凛』でいいよ。もう、センパイでもなんでもない、仲間なんだから。」

美玲
「そうか? じゃあ、えっと……リンは、どう思う?」


「プロデューサーが言ったことだからね。考えては、みるべきなんじゃないかな。」

夏樹
「ロッカーは振り返らない……なんてカッコつけるのは簡単だが。反省しないヤツは、上手くならねーし……。凛の言う通り、あのプロデューサーさんが、ただ意味もなく形式じみたことを言い出したとも思えねぇしな。」

美穂
「たしかに……毎日忙しくてあっという間だったけど。いろんなお仕事をしてきたもんね、私たち……。」


「そうだね。一心不乱に走ってきたけと、このあたりで少し、振り返ってみようか。」

──京都

周子
「ふぃー、ついたついた。夏樹ちゃん、今日のミニLIVE、改めてよろしくねー。」

夏樹
「おう、よろしくな!」

周子
「にしても……最近は、京都といえばあたし、みたいなとこあるよねー。イメージ戦略、成功しちゃったなー。」

夏樹
「ふっ、いいじゃねーか。順調だな、羽衣小町。神宮でのLIVEも熱かったって聞いてるぜ。」

周子
「そりゃあ、ま。あたしと紗枝はんのユニットだもん。そーいえばあのときも、今回と似たようなこと考えたっけ。ひとつの節目に、過去と未来。」

夏樹
「アニバーサリーに向けて、プロデューサーさんが言ってたことか。なにかの参考になるかもしれないし、よければ聞かせてくれよ。」

周子
「ん一? そんな大したことじゃないよ。過去の伝統と、未来への変化。ふたつともがあるからこそ、『現在』なんだって。なんか、そんなかんじ?」

夏樹 「へえ、そいつはなかなか粋だな。『現在』ねえ……。」

周子 「ま、プロデューサーさんの意図はよくわかんないし、あんまりあてにされても困るけどねー。……おっと、そろそろいこっか。」


──LIVE後

周子
「京都のみんなー、来てくれてありがとー! あたしたちのLIVE、楽しんでくれたー?」

夏樹
「今度、プロダクションのアニバーサリーを祝って、もっとでっかいLIVEをやるから、そっちもよろしくな!」


周子
「あたしは実家に顔出すから、ここで。じゃあね、夏樹ちゃん。」

夏樹
「おう、今日はサンキューな!」

夏樹
「…………。」

夏樹
「LIVEは、大成功だった。けど……『現在』って周子の言葉を覚えてたからかな。ふと、考えちまったんだ。今日、アタシたちはこのLIVEのために来たはずだ。なのに、本番直前まで考えてたのは……アニバーサリーLIVEのことだ。もちろん、アニバーサリーはでかい仕事だ。いまから準備をしておくのは、当たり前。だけど……。アタシたちはいつから……次の仕事のことを考えながら、いまの仕事に臨むようになっちまったんだ?」


夏樹
「……もしもし、プロデューサーさん? 悪いな、いま大丈夫か? 実はひとつ、頼みがあってさ……。」


──数日後

美玲
「おお……! なんだか、いつものLIVEとは全然違う雰囲気だなッ!」

周子
「路上でとはまた、大胆だよねー。あたしたちも、それなりに顔売れてきてるのにさ。おーお一、人、集まり始めてるねぇ。」

夏樹
「アタシにとっちゃ、むしろ古巣に帰ってきた気分だけどな。少しだけって約束とはいえ、許可をとってくれたプロデューサーさんには感謝だぜ。……よし、機材の準備はOK。覚悟はいいかふたりとも! はじめるぜっ!」


──LIVE終了後

周子
「やー、新鮮だった。けっこう面白いねー。」

夏樹
「だろ? 聴いてくれてる人の反応もよくわかるし。」

美玲
「ウチはちょっと悔しかったぞッ! 素通りしてく人、いっぱいいたからな……!」

夏樹
「そりゃ通り過ぎてくさ。むしろ今日なんて、すげー聴いてもらえた方だぜ。」

美玲
「うぅ~、もっとみんなに、聴いてほしかったッ!」

周子
「まー、いっつもLIVEに来てくれてる人たちは、あたしたちの歌を聴きに来てくれてるんだもんね。お客さんが違うんだから、仕方ないよ。……でさ、夏樹ちゃんは、どーしたの?」

夏樹
「ん? なにがだ?」

周子
「いきなり『路上で歌いたい』なんてプロデューサーさんにお願いにいったって聞いたからさー、なにか思うところがあるのかなーって。」

美玲
「それは、ウチも気になってたぞ! どうしたんだ、ナツキ?」

夏樹
「あー、それは、なんだ。初心にかえろうと思ってさ。」

美玲
「初心……て、どういうことだ?」

夏樹
「アイドルになる前はさ、路上で歌っても、聴いてくれるヤツなんて、ほとんどいなかった。みんな素通りさ。だから、通り過ぎる人を振り向かせてやるって、本気だった。聴いてくれる人の心を揺さぶってやるって、必死だった。もちろん、その心意気を忘れたことなんてなかった。アイドルになってからだって、ファンのみんなにも、仕事にも、本気で、必死に、向き合ってきたつもりだった。けど……。今日、久しぶりにストリートで歌ってみて、わかったよ。いつの間にか、鈍ってたんだ。」

夏樹
「アタシは……アタシたちはさ。アイドルであることに、慣れちまってたんだ……。」

夏樹
「──よし、みんな集まったな。バーティーの準備に、LIVEの準備……忙しいのに、悪ぃな。急に来てもらって。」

美穂
「ううん、そんなことないよ。それで……なにか、相談事?」

周子
「ちょっと、みんなの意見を聞きたいことがあってさー。」

美玲
「ウチたち5人が任された、アニバーサリーLIVE。プロデューサーが言ってたことを、しっかり考えたいんだ!」


「うん、そうだね。私も気になってはいたし……ちょうどいいよ。」

夏樹
「ありがとな。で、どこから話したもんか……そうだな。例えばの話なんだが。LIVE中に歌詞を忘れちまったら、どうなると思う?」


「どうって……うろ覚えのまま歌うしかないよね。本番中なら、止められないわけだし。」

美穂
「聴いてくれてるお客さんには、申し訳ないですけど……。」

夏樹
「足がもつれて、転んじまったら?」

周子
「急いで立ち上がって、立て直すしかないよねー。」

美玲
「悔しいけど、それしかない、な。」

夏樹
「だよな。アタシもそう思う。失敗したら、すぐ立て直して、お客さんには謝って。んで、後で悔しがって、次のレッスンに励む。それだけだ。それだけで終わって、失敗しても次がある。アタシたちはもう、そう知っちまった。」

美穂
「えっと、それは……。」

夏樹
「プロデューサーさんに連れられてさ、初めてステージにあがったときのこと、覚えてるか?」


「もちろん。レッスンはしてたけど、なにもわからなくて、不安だった。」

美穂
「失敗しないようにって、直前まで復習してたよ。すっごく、緊張してた……。」

夏樹
「アタシだってそうさ。ちょっと失敗したら、もうステージにあがれねぇって思ってた。でも、いまはどうだ? あの頃ぐらい、ミスが怖いか?」

美穂・凛
「……。」

美玲
「いつの間にか……慣れちゃってたんだな。」

周子
「プロデューサーさんと一緒に頑張ってきてさ。アイドルとして成長して……それと一緒に、あたしたち、なにかが変わっちゃったんだよ。」

美穂
「ま、待って! それは少し、よくない方に考え過ぎじゃないかな? 私たちだって、毎日いろんなことに、挑戦してるよ? レッスンして、勉強して。みんな真面目だし、誰も怠けてなんか……。」


「それは……そうだけど。でも、それだけでいいのかな。」

周子
「どういうこと?」


「これは、私が聞いてみたかったことなんだけど。みんなの、『アイドルとしての夢』って、なに?」

美玲
「アイドルとしての……。」

美穂
「夢……?」


「うん。舞台に出てみたとか、ドラマに挑戦したとか、新しい曲調の歌にチャレンジしてみたとか……。できることを増やしていって、それで、みんなは何をしたいんだろう、って。」

周子
「それは……んー……。」

美玲
「えっと、ウチは……。」

夏樹
「…………。ギターテクを練習することはできる。新しい弾き方をモノにする、それは挑戦で、成長だ。でも、大事なのは……そのギターテクで、どんなロックを魅せるか、だ。技術があっても、込める魂がなきゃ意味がねぇ。アタシは……ロックアイドルになりたいって言ってきた。……が。そうだよ、だけど……。アタシはもう、ロックアイドルだ。その上で、アタシがこめるもの……。オイオイ、案外難しいな。」


「プロデューサーは、たしかにたくさんの『挑戦』をくれるよ。でもそれはさ、結局、もらったものなんだ。プロデューサーが、私たちのために用意してくれたもの。私たちの、成長と努力のためのもの。頑張れば越えられることがわかってる、安全な壁。」

美玲
「ウチたちは……『挑戦』にも慣れちゃった、ってことか?」

周子
「あたしたちはみんな、プロデューサーさんに、アイドルにしてもらったよね。」

美穂
「アイドルになりたいっていうのを叶えてもらった子や、アイドルの楽しさを教えてもらった子……いろいろだけど。みんな、そうだよね」

周子
「そうやって、アイドルになって、時間が経ってさ、周りのことはどんどん変わって、あたしたちができることも増えて……。でも、あたしたちはいつまでも、『アイドルに憧れる女の子』の気持ちのまんまだった。ま、そりゃそうだよね。実際アイドルになっても、あたしはあたしのまんまだし。生活は変わったけど……でも、それが日常だもん。」

美穂
「慣れちゃった……から。私たちの気持ちは、変わらないままだったんだ。」

周子
「きっと、みんなそうだよ。今日も明日も明後日も、新しいお仕事があって、それなりの『挑戦』があって、でも楽しくて、明るい毎日が、ずっと続くんだって。そう思ってたし、実際そうだったと思う。だから、変える必要もなかったんだ。」

夏樹
「……けど……アタシたちは、気づいちまった。プロデューサーさんが言いたかったのは、これなんだ。アタシたちは現在に慣れちまって、停滞して……。そんな自分たちにさえ、気づかずにいた……。」

美玲
「プロデューサーに、聞きにいくか? ウチたちは、次はどうすれはいいんだッ! って。」


「それは……ちょっと違う気がする。プロデューサーは、私たちの夢を手助けしてくれるけど……。でも、夢をくれるわけじゃないから。この夢は……もらっちゃいけないものだと、思う。」

美玲
「それは……たしかに、そうだな。けど、じゃあ、どうすれはいいんだ……?」


「……先へ進もう。」

周子
「先へ……?」


「うん。先へ進んでいるつもりで、いつの間にか立ち止まっちゃってた。そのことに気づいたんだから、改めて、進めばいいんだよ。」

美玲
「でもさ、その『先』って、どこだ?」


「それはまだわからない。だけど……ううん、だからこそ、まずは一歩、踏み出してみないと。いきなりゴールは見えなくていい。それを探すんだから。まずは、私たちはこの先へ進みたいって、示すんだ。それが、最初の一歩。」

夏樹
「となりゃ、武器がいるな。」

美穂
「武器……?」

夏樹
「ああ。新しい場所に進むんだ。闘うための、武器がいるだろ?」

美玲
「それって、なんだ?」

夏樹
「アタシたちはアイドルだぜ? 武器っていや、決まってる。」


「そうだね。行こう。私たちの意思を示す武器──新曲を、もらいに。」

──事務所

周子
「おはよー。」

美穂
「あ、周子ちゃん。おはよう。」

美玲
「おはよう、シューコ!」

周子
「早いねーふたりとも。なにか話してたみたいだけど、なんのお話~?」

美穂
「えっとね、いまちょうど、新曲の話をしてたの。」

美玲
「そーだぞッ! 一緒に、歌詞の意味を考えてたんだ!」

周子
「おっと、真面目なお話だった。まぁいっか。あたしも混ぜてー。」

美穂
「もちろん! いま考えてたのは……この『stay at the frontier』ってどういう意味なのかなって。」

周子
「『フロンティア』は、直訳で……、んっと、『最前線』とか『未開拓の地』だって。」

美穂
「じゃあ、『最前線に居続けろ』ってかんじかな?」

美玲
「ウチ、なんとなくわかるぞッ!」

周子
「お、どゆこと?」

美玲
「誰かの後についていくのは簡単だけど、群れの一番前は、誰の後にもついていけないからなッ! 責任も重いし、立ち止まれないし、タイへンなんだ! だから、一番強いやつが、一番前を歩くんだ!」

周子
「立ち止まれない、か……たしかにね。アイドルも、あっという間に新しい人が出てきて、CDとか、テレビとか、流行になるもんね。」

美穂
「その人たちに追い抜かれないで、最前線に立ち続ける……うん、大変だね。」

美玲
「……前、さ。individualsでユニット曲をもらったとき、リンに、いろいろアドバイスをもらったんだ。あのときはリンが先輩だったけど、やっと追いついた。ううん、ここで追い抜いてやるッ。 ……って、思ってた。でも、ホントの戦いはここからだったんだな。追いつくだけなら、誰かの通った道でいいけど……追い抜く為には、自分で道を開拓しなきゃ行けない。『最前線に居続けろ』って、きっとそういう意味なんだ。」


「うん、そうだね。それはたしかに大変だけど……でもきっと、すっごくやりがいのあることだよ。」

美玲
「うおッ!? リンッ!? いつの間に!!」

夏樹
「アタシもいるぜ。……3人とも、そろそろレッスンの時間だ。行こうぜ。」

周子
「あらら、時間が経つのは早いねー。それじゃー今日も、みっちりしごかれてくるとしますかー。」

美穗
「頑張ろうね、みんな!」


──レッスン後

周子 「さすがに、きびしーねー。こんなタイミングで新曲なんてもらったら、当然なんだろうけどさー。」

美穂 「正直、本番までに間に合うのか、……けっこう、危ないかも。」

周子 「LIVE前のパーティーには、そこそこ穏やかな気持ちで参加したいんだけど……。どーかなー、キワドイよねー。」

美玲 「大丈夫だッ! ウチたちなら、まだまだやれるだろッ!」


「うん、自分たちを信じよう。それに……なんか、楽しいよね。このくらいの方がさ。」

夏樹
「ははっ、わかるぜ。不安なぐらいの方が、挑んでるって気になる。……ああそうさ。こうじゃなきゃな。」

周子
「おーおー、やる気組というか、根性組はさすがだねえ。きっついレッスンで、活き活きしちゃって。」

美穂
「ふふっ。そういう周子ちゃんも、十分楽しそうだと思うな♪」

周子
「えー、気のせいじゃない? シューコちゃんはそんな暑苦しくないよ。ただなんてゆーか、デビューしたばっかの頃、こうだったなって。」

美玲
「それは、ウチもそうだったな。……レッスンがすっごく厳しい気がして……いや、やっぱ、あの頃の方かキツかったッ!」

美穂
「それはそうかも……私も、毎日クタクタだったなあ。」


「それを、乗り越えてきたんだから。今回だって、越えてみせないと。」

夏樹
「そうさ。過去の自分に負けるわけにはいかねーからな!」

周子
「…………。守るべきは過去じゃない。……だけど。過去は、未来へ進む力になる、ってね。」

美穂
「それ、なんだか素敵だね。」

周子
「あ、聞かれちゃった? 独り言のつもりだったんだけど、恥ずかし。……未来のことばっか見てると、過去なんていらない、みたいになるけどさ。デビューしたばっかりの頃の頑張りとか、いろんなお仕事ができるようになった時の嬉しさとか、そーいう記憶があるから、次も頑張れると思うんだよね。夢だって……きっとそう。一番底にあるのは、ずーっと子供の頃に憧れた、キラキラしたものなんだよ。」

美穂
「うん、わかる気がする。アイドルになれて嬉しいって気持ちや、新しいお仕事に挑戦して、ドキドキした気持ち。アイドル仲間とお泊り会をしたときの、楽しい気持ち。そういうのも、間違いじゃないから。先に進めるのは、ここまでこれたお陰だから。過去に、感謝しないと。過去を大事に想ってるからこそ、ここまでの想い出が、幸せだからこそ、それを嘘にしないために……先へ、進もう。」

周子
「そーだね。進もう。最前線に居続けるために。」

美穗
「それが──アイドルだと思うから。」

──パーティー会場


「あ、プロデューサー。いろんな子が探してたけと、もう話してきた?」

周子
「さすが、大人気じゃん。こんなときまで、プロデューサーってのも大変だねぇ。」

美穂
「お疲れさまですっ。お飲み物はいりますか?」

[ありがとう]

美穂
「はい、どうぞっ♪」

美玲
「相変わらず、凄い人だな。これ、全部で何人ぐらいいるんだ?」

夏樹
「アイドルだけで相当な人数だからな。ちょっと、想像がつかないぜ。」

周子
「料理も豪華で美味しいし、これはきっと、結構な額が動いてるんだろうなー。」


「そういう生々しい話されると、居づらくなるよ……。」

美玲
「そーだぞッ!楽しいパーティーなんだから、そういうのは無しだ、無しッ!」

美穂
「LIVE前でドキドキするけど……。いまは、切り替えて楽しまないと、だもんね。」


「後は、本番でどれだけの熱を込められるか、だしね。結局は、LIVEってそういうものだから。」

[見せてもらう]


「うん、期待しててよ。」

美玲
「任せろッ! とびっきりのやつを、お見舞いしてやるッ!」

夏樹
「しっかし……。」

[どうかした?]

夏樹
「いや……内向けとはいえ、未だに、こういう場は慣れないなと思ってさ。」

美穂
「ふふ、実は、私も。お伽噺の中みたいで、ヘンな気持ちになっちゃう。昔は、こんなパーティーに参加する自分なんて、想像もしてなかったなぁ……。」

[みんなが頑張ったからだ]

美玲
「ああ、そうだなッ! 頑張って、たどり着いた場所だ!」

美穂
「うん……そうですよね。私たちはみんな、キラキラしたこういう場所を目指して、頑張ってきて……。プロデューサーさんに、たくさんのことを教えてもらって、背中を押してもらって、やっと、たどり着いた。」

周子
「だから、楽しいんだよ。みんな嬉しくて、楽しくて、ニコニコしてる。時間が経つのを、忘れちゃうぐらいにさ。」


「でも……私たちは、欲張りだから。この場所の輝きには、もう、目が慣れてきて……。そしたら、羨ましくなってきたんだ。あの空に光ってる星。届くかどうかもわからない、遠くて高い星の光。どうしようもなく憧れて、手を伸ばす楽しさを、思い出しちゃったんだよ。だから……。」

[一緒に目指そう]

夏樹
「ああ。ここから先は、アンタに手を引いてもらうお姫様じゃなくて。」


「最前線を走り続ける、アイドルとして。一緒に、向かっていこう。」

一同
「あの輝く星へ!」

──パーティー会場

美嘉
「やっほー、プロデューサー★」

莉嘉
「あーっ! Pくんやっとみつけたーっ! もー、どこいってたの。お姉ちゃん、ず一っとPくんのこと探してたんだからねっ!」

美嘉
「あ、ちょ、こらっ! 余計なこと言わないっ! ……まぁ、やっぱほら。挨拶とか、大事じゃん?」

[ここまでお疲れさま]

莉嘉
「うん、ありがとっ☆」

美嘉
「プロデューサーもお疲れさま★」

莉嘉
「パーティーに、LIVEに、最近忙しそうだったもんね。あんまり無理しちやダメだよ、Pくん。」

[アイドルの頑張りに応えたいからね]

莉嘉
「そういうとこ真面目なんだから一。じゃあ、今日だけでもパーッと楽しんで☆えっと……あっ! はいはい、飲み物! お料理もあるよ!」

美嘉
「はいはい。そのぐらいにしとく。あんまり持ってきても困るでしょー。ま、ちょっとゆっくりしなよ。パーティーでもいろいろ挨拶があるだろうし、大変なんでしよ。アタシたちに捕まってる間は、きゅーけいってことで。」

──しばらく、美嘉と莉嘉の心遣いに甘えた……

美嘉
「そういえばさ、アニバーサリーLIVEの新曲、聴いたよ。」

莉嘉
「アタシも聴いた! めーっちやカッコいいよねーっ。」

美嘉
「あの曲をもらいにいくまでの話も聞いたんだけど、アレ、アタシも同じ気持ちだから★ううん、アタシだけじゃなくて……今回歌うのは周子ちゃんや凛たちだけど、他のみんなも、同じ気持ちを持ってると思う。」

莉嘉
「うんっ! アタシたちも一緒に、『フロンティア』で頑張るから☆」

[それに応えるよ]

莉嘉
「えへへー。じゃあアタシたちは、応えてくれるPくんに応える☆」

[それにも応えるよ]

莉嘉
「えっと……? アタシたちが頑張って、Pくんが応えて、アタシたちが……?」

美嘉
「一緒に、頑張ろ★」

莉嘉
「それそれ! 一緒に☆」

[……そろそろ、いくよ]

美嘉
「おっけー。だいぶひきとめちゃったね。ありがと。……あ。そういえば。」

[どうかした?]

美嘉
「もしさ、会場のどっかで志希ちゃんを見たら、叱っといて。アタシじゃなに言ってもムダだし。」

莉嘉
「あー……お姉ちゃん、かなりイジられてたもんね……。」

美嘉
「あのふたりはホント……アタシに容赦ないっていゆーか。ま、それはついででいいから。じゃーね、プロデューサー。これからもヨロシク★」

莉嘉
「ばいばーい☆」

美嘉
「あ、加蓮に唯はっけ~ん★おーいっ!」

──美嘉と莉嘉は楽しそうにパーティーに戻っていった……

──パーティー終了後


「豪華で楽しいパーティーも、終わったね。明かりも落ちて……少し、寂しいな。」

夏樹
「祭りの後はこんなもんさ。だが、あんまり悠長なことも言ってられないな。なにせ次は……LIVEの時間だ!」

周子
「ドレスを脱いで、アイドルの衣装を着ないとね。」

美玲
「走って踊れる靴にならないとなッ!」

美穂
「グラスからマイクに、持ち替えないと!」

[ここからはみんなの時間だ]

美穂
「うぅ~。改めて、ドキドキしてきましたっ!」


「新曲は、私たちの覚悟を形にしたものだもんね。これで、盛り上げられなかったら……。」

夏樹
「オイオイ、やめてくれ。そんな想像しちまったら、ステージに上がれなくなるたろ。」

周子
「ねー。LIVEを、ホントに怖いって思うの、けっこうひさしぶりかも。」

美玲
「やめろよなオマエらッ! ひっかくぞッ!!」

[でも楽しみだろう?]

美穂
「……はい。たまらなく不安で、怖いですけど……。」

周子
「同じぐらい、自信もあるから。あたしたちは、ここまで来られたアイドルだからさ。」

美玲
「ウチたちの新曲で、ステージで、どれだけ盛り上げられるか……。」

夏樹
「その光景を想像するだけで、熱くなる。ワクワクして、早くステージに上がりたくて仕方がないぜ。」


「そうだよね。だって、やっぱりこういうのこそ、私たちが求めてた、先へ進むための一歩だから。」

[期待してる]

一同
「はいっ!」


──翌日

美穂
「おっきな会場に、たくさんのお客さん。」

夏樹
「これ以上ない、絶好の舞台さ。」

美玲
「ウチたちなら見せつけてやれるって、信じてるぞッ!」

周子
「あたしたちのこれから、歌い上げてくるよ。」


「だから、プロデューサーも。しっかり聴いて、心に刻んで。」

周子 「あたしたちの──。」

美穗
「私たちの──。」

美玲
「ウチたちの──。」

凛・夏樹
「──決意の歌。」

一同
「『ガールズ・イン・ザ・フロンティア』!!」

  • 最終更新: 2018/11/25 16:37
  • by Bobbie Bobrow